池田扶美代さんという、ヨーロッパを代表するコンテンポラリーダンスのダンサーの作品です。(テキストはTim Etchelles)
扶美代さんは16歳から、ベルギーのモーリス・ベジャールのダンス学校「ムードラ」に入学し、そこで Anne Teresa De Keersmaeker (アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル)と出会って、Rosas(ローザス)というカンパニー設立からのメンバーという、現代コンテンポラリーダンス界では、知らない人は潜りといえるほど、重要な位置を担っているダンサーです。
ローザスを離れた扶美代さんの作品としては、前回の 「ナイン・フィンガー Nine Finger」がアフリカの少年兵の問題を扱っていて、観ていて胸が痛くなるようなディープな社会問題がテーマだったので、実はちょっと構えて観たのですが、今回は心の準備を打ち破るようなピュアな作品でした。
思わぬ所で涙ぐんでしまって、 ちょっと恥ずかしかったりしたのですが、 扶美代さんの踊るために生まれたような、語る肉体の動きを眺めていると、いろいろな想いが知らず知らずのうちにわき上がってくるのでした。
良い音楽を聴いたり、良い舞台を観ていると、知らず知らずのうちに自分の内なる世界に沈んでいって、何か急にアイディアが浮かんだりしませんか?
インスパイアされるというほどの直接的な相関関係はなくても、良い精神状態から視界が開けていくということがあるように思うのです。
そういう意味では、お芝居やコンサートに出掛けることって、かなりスピリチュアルな体験なのかもしれませんね。キャパシティが無いと楽しめないけれど、逆に今の自分のレベルが分かったり、それ相応のご褒美がもらえるような。
扶美代さん、素敵な作品をありがとうございます〜。まだまだローザスのツアーも続くようですが、どうぞお身体に気を付けて!