2009/11/01

Antonine Catzéflis



以前から気になっていた小さなギャラリーがあって、今日待ち合わせ前にちょっと時間が空いたので、初めて入ってみました。このアパルトマンの玄関、趣きがあるでしょ?

実はミニチュアのオブジェで、Ronan-Jim SEVELLEC(ロナン・ジム・セヴェレク)というフランスのブルターニュ地方出身の作家の作品なのです。全体はこんな雰囲気。




このうら寂れた古いアパルトマンの入り口には、ゴミが入りきらなくて周りに落ちているゴミ箱や、掃除の途中に放置されたような、ほうきと掃除機(掃除機は階段の途中にあるので、作品の右隅に寄らないと見えないのですが)、ポストにはいつから差し込まれたままなのか分からない郵便物など、細部に渡って細やかなディテール&演出が、何だかノスタルジックなオブジェです。

このRonan-Jim SEVELLEC(ロナン・ジム・セヴェレク)という作家は1938年生まれ、現在はパリ南西のCHAVILLE(シャヴィーユ)という都市の小さなアトリエで、このような非常に手の掛かった、年に3点ほどしか出来ない作品を作り続けているそうです。



今日、ギャラリーにあったもう一つの作品は、もっと大きくて、シュール。お肉屋さんの作業場が舞台の作品です。The Cook The Thief His Wife & Her Lover(コックと泥棒、その妻と愛人)なんていう Peter Greenaway(ピーター・グリーナウェイ)の映画を思い出したりして。



ちょうどこの作品を見ている時に、このギャラリーのオーナーの Antonine(アントニーヌ)が入って来たので、彼女にどうしてロナン・ジムはお肉屋さんを作品の題材に選んだんでしょうか?と聞くと、「ロナン・ジム・セヴェレクはベジタリアンではなく、私達と同じようにお肉が大好きなのだけれど、自分達が動物を殺して食べているということの意味をもう一度大切に考えたかったからだと思うわ」とのこと。

 

さて、みなさんはどう感じるでしょうか。作品の解釈は、見る側の私達に委ねられているんですよネ。私にはとてもリアルで、悲しいほどシュールでありながら、ユーモアや愛に溢れているように感じました。 作品の息をのむようなディテールは、照明の写り込みが多すぎて私には上手く撮れなかったけれど、どんなに細部が凝っているいるか、少しはお伝え出来たでしょうか。(写真はダブルクリックして、是非大きくして見てみて下さいネ)



セヴェレクの作品に引き込まれたのは、説明してくれたのがこんな素敵な女性で、話がはずんだせいもあるかもしれません。Alice Cozon(アリス・コゾン) は彼女自身もアーティストで、この写真で身につけているネックレスは彼女の作品です。

アパルトマンの作品は彼女に向かって、右の小さなドールハウスのように見えている大きさです。お肉屋さんの方の作品は、その3倍か4倍大きく、奥に左側の一部が見えているものです。パリにいらっしゃれる方は是非、実物に触れてみて下さいネ。

Gallery Antonine Catzéfils
23 rue St-Roch 75001 Paris
33(0)1 4286 0258